【クラス・レイヤ】 あらためてデザインレイヤーとシートレイヤーについて
「デザインレイヤー」と「シートレイヤー」の違いを探しているのだろうなぁと思われる検索語で、このブログに到達する人が多いようなので、あらためて、別の切り口から書いてみる。
デザインレイヤー
まず、建物は重箱であると念じる。
段数は、階数と同じ。
重箱の一段一段が、デザインレイヤーである。
重箱の一段一段それぞれには、立体的に食べ物を詰めていく。(オブジェクト、間仕切り壁、etc.)
重箱自体も自分で作る。(外壁、床)
3Dの世界。
デザインレイヤーでは、あなたは棟梁。
以下の記事もどうぞ。
【クラス・レイヤ】 JW_CAD利用経験のある人は要注意—JW_CADのレイヤ=VectorWorksのクラス
シートレイヤー
撮影した重箱の写真(Vectorworks用語では「ビューポート」)を貼り付ける台紙。
- 一段一段の記念写真(=平面図)
- 重箱の外観の記念写真(=パース、立面図)
- 重箱を(仮想的に)大根切りしてみた写真(=断面図)
さらに、お品書きを加えてもよい。(=コンセプト、設計主旨などのテキスト)
記念写真には、縁取りをつけるのもお洒落。(縁取り=図面枠)
2Dの世界。
シートレイヤーでは、あなたはカメラマンだったり学級新聞係だったりする。
そんな訳で(?)、2014からPDF一括が「パブリッシュ」メニューに移動したのでしょうか?
でも、「レイヤー」という名前が付いているのが混乱の元だと私は思う。
英語版では「Sheet Layer」。日本語版は、それを翻訳せずにカタカナに変えただけで、それがダメなわけではないけれど、「レイアウトシート」というような和製英語?にした方が分かりやすかっただろう。
今までのVECTORWORKS解説書にはなかった、より便利に速く図面を描くためのVectorworksの使い方を100コ紹介しています。
(ついでに) ストーリ
建物にまつわる壮大な物語(story)ではない。
アメリカ英語では「story」、イギリス英語では「storey」と書く。
建物の「階」のこと(語源は物語という意味の「story」であるそうだ)。
だから、ほんとは、こっちが「デザインレイヤー」に近いので、中途半端に英語を知っていると混乱する。
重箱式では、2段、3段など複数の段にまたがる壁を書けない。
重箱を風呂敷で包んだとする。短絡的に言えば、その風呂敷がストーリ。
VectorWorks 内でだけ通用する用語。
「ストーリー」という表記でも良いはずだが、日本では物語という意味の「ストーリー」が定着しているので、「ストーリ」という表記になったのだろうと思われる。
デザインレイヤー、シートレイヤー、ストーリ、クラスは、英語をカタカナ表記に変えただけでは、日本語として通用しないだけでなく、そして混乱を招く恐れがあることを示す好例です。昔は「レイヤーとクラス」だけでしたが、それが定着してしまっていたので、より正しく意味を伝える日本語をあえて作ることは危険だったとは思います。
しかし、悔やまれるのは、当初、「レイヤーとクラス」をそのまま輸入してしまったことです。そのころ普及していたAutoCADやDracad、出始めのJW_CADでは、これらの「レイヤー」はVectorWorksでは「クラス」に相当するものですから、逐語訳にしてしまったことが、現在に至る無用な混乱の原因となっているのです。
VectorWorksにかぎらず、日本語版で意味が掴めない機能は、英語版(というより開発国版)を見れば瞬時に分かることが多いですね。